大人になった妹とプールにでかけた

『妹の友達』

妹がその友達のことをいつもキミちゃんと呼ぶので、彼女が家に遊びにきたときなどは僕も、彼女のことをキミちゃんと呼ぶようになっていました。彼女は妹と同じ大学に通っています。妹と同い年のはずが、いっしょにいるとキミちゃんのほうがずっと年上にみえます。僕好みの知的な風貌と、可愛らしさをかねそなえた彼女でした。
僕が奈々に、キミちゃんを家に呼べよとしきりにけしかけるのは、ほかでもありません、僕が彼女に気があるからでした。
じつはきょうもこれから、妹が彼女をつれてくる予定になっていました。用事がなくても、遊びにいらっしゃいと、僕はいつもキミちゃんに言っていました。
キミちゃんもまた、我が家にくるのが楽しみらしく、よく奈々に、お兄さん、元気にしてるとか聞くそうです。
「おじゃまします」
キミちゃんがやってきました。妹の部屋に上るのをまって僕が出ていくと、キミちゃんは嬉しそうに笑ってこちらを見返すのでした。
妹が何か飲み物をとりに部屋を出ていき、キミちゃんと二人きりになると、僕はこのときとはがり彼女に話しかけました。
「たまには、妹じゃなくて、僕ひとりに会いに来てもらいたいもんだ」
キミちゃんはいまの僕の言葉を理解しょうとするかのように、しばらく黙りこみました。
「こんど奈々ちゃんと、体育館の温水プールに行くつもりなんです」
僕にはてっきりそれは彼女の誘いとうけとれました。
「僕もいっしょに泳ぎたいな」
彼女の水着姿がどんなものか、想像するだけで気持ちはわくわくしました。
彼女は返事はしなかったものの、僕が同行することを喜んでいるようにも見えました。
奈々がぼんにジュースをのせて入ってきました。キミちゃんは夕方、帰っていきました。
「奈々、こんど僕も、プールへ行くぞ」
「誰からきいたの、あ、キミちゃんが言ったの」
「そうさ。いいだろ、兄貴同伴で」
「お兄ちゃん、彼女のこと―――」
「おっと、それからさきは言いっこなしだ」
そして当日、僕は奈々といっしょに家を出ました。待ちあわせ場所のバス停に着いたころ、奈々のスマホにキミちゃんから電話が入り、急に用事ができていけないと断ってきました。
「残念でした。お兄ちゃんは彼女の好みじゃないって」
「ほんとに彼女、そんなこといったのか」
すると奈々は、けらけらと笑いだしました。
結局プールへは兄妹二人で出かけました。ひさしぶりに妹の水着姿をみて、すいぶん大人になったなと思った僕でした。

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