年上の女性を口説くにはおだてること

『年上の彼女に見せられた彼』

飲み仲間の彼が馴染みの居酒屋で、いつも以上にグラスを重ねるのを見て、どうしたんだと僕はたたずねました。
「きみ、年上の女性を口説くには、どうしたらいいだろう」
「そりゃ、おだてるのが一番だろう。年上の女性にほれたのか」
彼はうなずきました。なんでも、彼が健康のためにはじめたヨガの教室に、彼より10以上歳の離れた女性と知り合いになり、その魅力にすっかり心をうばわれたのだとか。

「10以上となると、40代か」
最近は40代でも、いやもっと上で若く見える女性はいっぱいいるので、おそらく彼のいうとおり魅力あふれる女性なのでしょう。
「その彼女は独身なのか」
「バツイチで、いまはひとりだそうだ」
「じゃあ、堂々と交際を申し込めばいいだろ」
「それがな………」
酒を飲むとめっぽう気の大きくなる彼だが、素面のときはとんと小心者で、たぶんその相手に対してもおずおずとして、二人の間になんの伸展もないのは目に見えていました。

「一度、その彼女を、飲みに誘ったらどうだ。酒が入ればきみだって、思いのたけを打ち明けられるだろう」
「すまんが、そのときは君も同席してくれないだろうか」
「まかせとけ」
彼が惚れたという女性とこの同じ居酒屋で僕が会ったのは、それから三日目の夜のことでした。
なるほど彼女はみずみずしい美貌の持主で、ヨガをしているだけあってスリムな体つきで、おまけに胸も腰も豊かにつきだして、セクシーさにかけてもなかなかのものでした。

彼は僕を彼女に紹介してから後は、緊張も手伝ってか口数が重いのを見て、僕はさかんに酒を進めました。彼は日本酒を何杯もお代わりするうち、目のふちを真っ赤にさせて、そのうち重ねた腕の上に顔を乗せて寝てしまいました。
「おいおい、せっかく彼女を呼び出しておいて、それはないだろう」
声をかけながらいくら揺り動かしても、彼が起きる気配は一向にありません。
「そっとしておいてあげたら」
見かねたように彼女が言いました。

「いつもはこんなやつじゃないんですけよ。やっぱりあなたのような女ざかりの魅力にあふれた女性がいると、酒の酔いもはやいとみえます」
僕がそういうと、急に彼女の目の色が変わりました。
「あなたのこと、もっと知りたくなったわ」
それからは僕たち二人、酔い潰れた彼をほったらかしにしたまま、仲良く話しこむようになりました。

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